読後にやっぱり宮部モノだったという満足感があった。
後半から情景描写の巧みさが際立ち、引き込まれる。
物語の8割がクライマックスに収束されてゆく。終章は後日談のようであり、謎解きのようであり、海外旅行から帰ってきた成田空港のようである。
この部分でガッカリするとか、納得できないという意見もあるが、これはワタルだけの物語であるのだから コレで十分だと思う。
ちなみに 一番好きなキャラは 中巻に登場するトウゴウトウ。物語に登場できるならこいつになりたい。
一番お気に入りの場所はドラゴンの島。火山の位置がいい。大原まり子氏の解説もいい。以下は好きなフレーズ。
ーは、そっとそれを持ちあげた。誰に対するときの、どんな手つきよりも優しく。おそらくは、自分自身の魂に触れるときよりも厳かに。
その一点を中心に、収縮してゆくのだった。ーが、折りたたまれてゆく。吸い込まれてゆく。無数の窓は、声のない悲鳴をあげる口だ。呑みこまれてゆく。
とげとげした枝を張りのばす木々たちが、精一杯に手を広げて、ーたちをかばおうとしてくれているように思われた。寒い国の無口な歩哨たち。ーたちを懐に隠し、何事もなかったかのような静謐な顔を空に向けて。
ヴェスナ エスタ ホリシア その意味。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年4月8日
- 読了日 : 2019年4月8日
- 本棚登録日 : 2019年4月8日
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