対岸の彼女 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年10月10日発売)
3.63
  • (812)
  • (1622)
  • (1770)
  • (293)
  • (54)
本棚登録 : 16113
感想 : 1454
4

対岸の彼女 角田光代著 

0.2020.12.19追加
対岸の彼女。
書店に並ぶ風景を目にします。
タイトルからは、牧歌的な、平和な雰囲気が読み取れます。

しかし、内容は現実的です。
放たれるメッセージこそ静かですが、少しずつ、読者の心に楔を打ち込んできます。

対岸の彼女 という著書から、読者にとって大切なものは何か?を探す物語が始まるのかもしれません。

1.本書より抜粋
「ひとりでいるのが怖くなるたくさんの友達よりも、ひとりでいられる大切な何かに出会うことの方が大切かも。」

「人間なんだから、みんな同じなんて嘘。
みんな違う。それを受けいれて、初めて出会えているということ。

2.本書より。共感を呼ぶ風景
物語の一シーン。
①親戚づきあい
奥様が旦那さんのお母様の誕生日に毎年訪問、慶事をするというもの。
一方で、旦那は、奥様方のご両親にはそれを為さないというもの。

②共働き
子供が泣く。奥様は料理でてんてこまい。
旦那は、見ないふりで書斎に籠る、またはテレビを見る。

このシーンの描写も、読者の共感を誘うのもひとつの材料なのかもしれません。

3.人間関係への考察
わけあって、アドラー心理学をこの2年間で読んでいます。
①自己と他者の課題を分離する。
②他者の課題に介入しない。
③自己の行動をコントロールする。
 感情は逃してやる。スペースをつくる。

自身を保つために、、、

4.読了して。対岸の彼女の世界観。
対岸とは、川を挟んだ向こう側です。
基本的には、こちらとは別の世界。
割り切って見ないこともできます。

でも、対岸に大切な何かがあるとき、
それは、こちら側の世界とつながります。

大切な何か?
ひとかもしれません。
いや、物かもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年11月8日
読了日 : 2020年11月8日
本棚登録日 : 2020年11月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする