上を乗り越えれば、中、下と一気に読める本であった。恐らく発刊された当時の私は、上で音を上げてしまったのだろう。上以上に中、下の記憶がなかった。上が面白くないわけではないのだが、ミステリーの肝心は中、下に込められているようだった。
洋書の割には、言い回しが原因で意味がわからなくなるところがほぼ無かった。書き方や構成が端的なのもあるだろうが、訳も綺麗なのだと思った。日本人が書いた文章を読んでいる気になるほど、突っかかる箇所が無かったのも、思ったより一気に読めた要因だろう。
最初はアナグラムばかりで、これが謎なのか?とも思いかけたが、ちゃんと推理に徹する箇所もあり、解き明かされた後の主題も忘れてませんよとばかりにしっかり練り込まれている。当時では相当な衝撃的作品だったのだろう。もちろん、今でも面白い。そこまで宗教的な思想や習慣に詳しくなくても面白いのだ。むしろその方が取っ付きやすいのかもしれない。否定する気持ちが生まれないから。
ご時世なので思うところがある人もいるかもしれないが、純粋に歴史的ミステリーとして非常に楽しませてもらいました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年9月10日
- 読了日 : 2022年9月10日
- 本棚登録日 : 2022年8月8日
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