本棚の奥から出てきたちょっと古めの岩波少年文庫。 その中の1冊にこの本がありました。
ハイジ 上 (2003) 1996年6月第42刷
ハイジ 下 (2004) 1996年6月第38刷
ヨハンナ・スピリ作 竹山道雄訳
思い起こせばハイジの物語に初めて触れたのは小学校入学前、そして小学校低学年・中学年の頃には何度も何度も読み返した物語です。 小学校高学年ぐらいになってからは「よく知っているお話」というカテゴリーに入ってしまったためほとんど手に取ることがなくなってしまいましたが、某TV局で放映されていたアニメ(!)に触発され、大人になってから再度入手したのがこの本です。 因みにあのアニメ、Brunnhilde が中学生の頃に本放送が始まり、その頃は「もうハイジっていう歳でもなし・・・・」と観なかったような気がするのですが、その後の再放送で観たのかなぁ・・・・。 結構大人になってからほぼ全編を観て、思わずこの本を購入することになったような記憶がうすぼんやりとあります。 で、まあ、アニメの話はともかくとして、こんな古典的な物語を再読できることこそこのブログ、この企画を始めた趣旨にぴったりあっているのではないか?・・・そんな風に感じたので、今日はこの本を手にとりました。
久々のハイジの世界ですが、ハイジ、ペーター、アルムおじさん(おじいさん)、デーテおばさん、クララ、ゼーゼマンさん、ロッテンマイアさんという名前が出てくるたびに、あたかも小学校時代は交換日記をつけていたにも関わらず、中学進学、高校進学、大学進学、そして社会人へという人生の過程の中のどこかのタイミングで疎遠になり、その後何年も会っていなかった旧友と再会したかのような思いを抱きました。 現実世界の旧友と大きく異なるところは、現実世界の旧友は時の流れの中で「あれ? こんな考え方をする人だったっけ?」というようなある種の戸惑いを感じることもあるのですが、物語の登場人物に関してはそんなことはなかった・・・・ということでしょうか? もちろん、子供時代には何となく意地悪な存在として認識していたロッテンマイアさんが、決して意地悪なわけではなく、単なる常識人・・・・そして自然児ハイジを相手にオロオロしている融通の利かないおばさんに過ぎない というようなわずかな軌道修正こそ必要ではあったのですが・・・・・(笑)
久々に読んだハイジで何よりも感動したのは、いわゆる情景描写の細やかさです。 モミの木のざわめき、雪が積もった翌朝の輝き、朝日・夕日を浴びた山の姿の何と美しい描写!!! 文章を読んでいるとアルプスの美しい景色が頭の中でどんどん空想でき、同時に山の空気さえ感じられるような気分になっていきました。
実は Brunnhilde は最近群馬県の山の中に終の棲家を持とうとしているのですが、なぜ自分が海よりは山に惹かれるのか、その理由をあまり真剣に考えたことがありませんでした。 でも、この物語を読んでふと思ったのです。 考えてみたら Brunnhilde が大好きな物語の大半は海辺の物語というよりは山の物語、川辺の物語だったなぁ・・・・と。 「夢見る夢子ちゃん」と親からからかわれていた子供時代。 Brunnhilde の空想の世界に海辺や海上の景色はほとんど表れなかったなぁ・・・・と。 この本は山小屋での読書に適した本だったかもしれないなぁ・・・・と。 いずれ山小屋で再読してみようと思います。
- 感想投稿日 : 2008年2月15日
- 読了日 : 2008年2月15日
- 本棚登録日 : 2008年2月15日
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