借りたもの。
ポジティブに生きる事、ありのままを生きる事――そのために必要な自己評価について、健全で肯定的な自己評価の必要性と、その理由を、クライアントの事例から丁寧に解説してゆく本。
これを読んでいると、最近はやりの「引き寄せの法則」などの自己啓発本の根底にあるものは自己肯定感で、それに起因する行動によって夢の実現等、「引き寄せ」ているのだと思った。
また、自己愛性人格障害、コミュ障然り、その根底には自己肯定感が関わっていると思う。
それらは親と子の関係から始まり、人間関係――ひいては人類の抱える大きな悩みの根幹となっているものではないだろうか。
その先駆となったのはアドラー心理学だろう。「すべての悩みは対人関係の悩みである」とあるように。
自己肯定感を培うには、養育者からの“無償の愛情”であることを、前半で語り、中程では自己肯定感の”バランス”の重要性、そして偏りに伴う傾向の分析などが語られる。
やはり、親の影響というのは大きい……(「親が悪い」と言っているのではない。理由が分かったから、克服するのが命題だから)
後半では、自己肯定感が乏しいクライアントが、いかにして回復していったか、様々な治療法の検討と、クライアントからの手紙という形で、何がきっかけで回復したかを端的に表している。(もちろんこれは一例に過ぎず、全ての人がこのように回復するわけではない)
しかし、セラピストに関わるならば、どういう人が良いセラピストなのか、どの様な点に気を付けるべきか、ひとつの指標となると思った。
この本は2000年に出版されたもののようだが、今、日本でもてはやされている心理学の考え方は、10年以上前に海外では語られていたと思うと……
日本はまだまだ浸透していないのだろうか?
- 感想投稿日 : 2017年1月26日
- 読了日 : 2017年1月26日
- 本棚登録日 : 2017年1月11日
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