『文鳥』が好きです。文鳥の可憐な姿や愛らしい様子、昔の綺麗な女性に例えているところも秀逸。時間と共に鳴き声が変化する様や面倒と思いながらも文鳥の存在を意識する主人公(著者?)も可愛らしい。世話を怠ってしまい最後は死んでしまうのが何とも物悲しく、物語全体として美しいという印象。
『思い出す事など』は、著者が修善寺での療養の間に危篤状態となり一度は『死んだ』事から生に対する思いなど感じるままに綴られている。世話をしてくれる人々や心配する身内などに対し優しい気持ちになったり、著名な外国の作家と自分を比べたり。病床にあってじっくり思いを巡らす様子が漱石独特の表現で味わう事が出来て、漱石の文学に触れる上で、その楽しさにより深みが増すように思われた。
『永日小品』も日々の出来事が徒然に語られている感じが良かった。
いずれにしても他の短編も含め、漱石が生きた時代にタイムスリップしてみたいような余韻が残る一冊。
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- 感想投稿日 : 2021年12月1日
- 読了日 : 2021年11月28日
- 本棚登録日 : 2021年11月23日
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