「世界というのはひとつの記憶とその反対側の記憶との果てしない闘いなんだよ」とあゆみに言わせた真意はなんなのだろうか。
アンダーグラウンドの執筆を通して、「悪しき物語」に対抗するための「善き物語」を自分が作り続けなければならないと村上自身が感じたのだろう。
遺伝子の乗り物に過ぎない私たちがなぜここまで苦悩し、奇妙な生涯を送らなければいけないのか。自分で選び取った人生のようでその実、「選ばされている」。人が運命を選ぶのではなく、運命が人を選ぶ。海辺のカフカや世界の終わりとハードボイルドワンダーランドでも見られたテーマがまた瀟洒な表現で語られる。
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- 感想投稿日 : 2021年5月1日
- 読了日 : 2021年5月1日
- 本棚登録日 : 2021年5月1日
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