ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか (角川文庫)

  • KADOKAWA/角川書店 (2014年3月25日発売)
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本棚登録 : 213
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遺伝子の99%を共有するヒトとチンパンジー。その大きな違いは「共感性」にあるという。チンパンジーも「道具を渡す」という利他的な行動をすることはできるが、「貸してくれた御礼をする」とか「前に助けて貰ったからお返しをする」ということはできないらしい。人間が進化の過程で獲得した特性は「助け合うことができる」「分かち合うことができる」ということなのだ。
しかしその一方で、人間ほど同種間で殺し合うものもいない。その矛盾を解き明かしていく試みは興味深い。

人間を闘争的にするテストステロンと、信頼し、共感することを促進するオキシトシンという、相反するふたつのホルモンが、我々の中では分泌されている。その働き如何で人間は殺し合ったり愛し合ったりの間を揺れ動きながら、現在まで何万年も生きてきた。

その矛盾した存在である私たちがこの先も生存できるかどうかは、そのバランスをいかに均衡させるかという心の持ちようなのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2015年4月8日
読了日 : 2015年4月3日
本棚登録日 : 2015年4月3日

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