「グローバル経済」が金科玉条のように言われて久しいけれど、それは本当に人間を幸せにしているのでしょうか。答えははっきりしてきました。「一部の人間は確かに幸せになるが、大部分の人間は生活を破壊され、貧しくなる」のが現状です。「グローバル経済」は世界の富を均等に分ける方向には機能しないようです。逆に一部の国家、あるいは一部の人間に富が集中し、その格差は開いていく一方です。本書では現代の経済がいかに資源を浪費し、無駄なものをつくることでGDPを水増しし、発展途上国から収奪しているかを多くの事例を挙げて解説しています。自分自身、広告に携わることでその片棒を担いできたこと、あるいは消費者として多くの資源を浪費してきたことを思うと非常に心苦しく思います。私たち個人が具体的に出来ることはなんでしょうか。過剰消費を抑える、自然に触れて「循環するシステム」への理解を深める、選挙やデモで「アンチグローバリズム」を表明する…。少しずつですが、そういった事で世の中を変えていくことが出来るのではないでしょうか。福島の原発事故で私たちが学んだことは「そんなことを言ったら経済が成り立たない」というロジックは完全に間違っているということです。「経済」というものは経世済民〜民の暮らしを救うためにあるもので、その逆ではないのです。経済を守るために人間が犠牲になっている、この社会を変えることは私たちに残されたフロンティアであると信じたいと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2012年9月28日
- 読了日 : 2012年9月28日
- 本棚登録日 : 2012年9月28日
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