下町ロケット2 ガウディ計画

著者 :
  • 小学館 (2015年11月5日発売)
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本棚登録 : 3865
感想 : 527
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「ロケットから医療へ」
絶賛放映中の下町ロケット後編の原作本。
我慢せずに読んでしまった。

三菱ーーじゃなくて帝国重工 vs 佃 と圧倒的にサイズの違うものに挑んだ前半戦と違い、後半は 医学会や 業種の違う中小企業が登場する。
とはいえ、本書冒頭の関連図をみながら 帯と 最初の章を読めば 、どういう話になるのかなんとなく見当はつく。

それでも面白いのが池井戸本。
現実のビジネスはもうちょっとドライではないかと思うが、そこにウェットさをプラスして物語に編み上げる。
対立して自分のもとを去った部下や、めんどくさい帝国重工とも折り合いをつけていく佃をはじめ、表層的ではない登場人物たちが ここぞというときに発する一言が良いのだろう。
実際には、思っても口には出せない一言が。

さて、端役ながらガウディ計画には女性技術者が加わってくる。
彼女を妙に女性女性と持ち上げず変に色をつけず、ごくごく当たり前に描いているところがいい。
好感度大。
若い女性の活躍に戸惑うおじさんたち、 どうぞ参考に♪

土俵際の佃たちの思わぬ救援となったジャーナリストも女性女性と書かれていない。
しごくまっとうで気持ちがいい。

もう一つ、
フシギの国ニッポンは、失敗はものすごく叩くくせに、権力権威が突き通す嘘には激甘だ。
なかったことにしちゃう。
情報統制をはかる権力とそれに癒着するメディア。
本作では、そんなことは許さないよ〜(^^)
失敗には甘くはないが寛容さを見せるものの、悪意の隠蔽やインチキには鉄槌を下す。
倍返しだよ♪

謝辞によると 今回は 大阪医科大学と福井経編興業に取材しているそうだ。
実際に繊維技術をいかして人工血管を作り出したコンビらしい。

ドラマ後編は、その福井経編興業でロケをしているとのこと。
ドラマ後の5分番組にも出てくるかな?
http://www.fukutate.co.jp/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説
感想投稿日 : 2015年11月18日
読了日 : 2015年11月18日
本棚登録日 : 2015年11月18日

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