文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1998年9月14日発売)
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5

読む隕石。
京極夏彦はグランドマスターである。
と帯にある。その通りの作品でした。

病院の娘が二十ヶ月間身籠ったままで、その夫は密室から消えて失踪
古本屋であり陰陽師の"京極堂"という男が事件と病院に隠された呪いに迫る。

なかなかの厚み(約620P)
事件の話を持って来た関口さんとのやりとりからはじまり「会話が多いからわりとスラスラいけるかな?」本の厚みはこういうことか!なんて納得しようとしたのが愚かでした。

現実に対する「記憶、意識」それがどれほど曖昧か不確かなのかを解く会話なので、後々関係してくると察知しコレがなかなか面白いが少し長く感じ不安になる(占星術殺人事件を読んだので、ここらへんの長さには少し免疫がついてる。)
想像していたのは「京極堂が事件をパッと解決する」だったのだが、なかなか腰を上げるわけでもなく、その分他の探偵達(心霊探偵?見ただけでその人、場所の過去を見ることができる榎木津や、やや荒っぽい警察官の木場)が出てきて、なかなか飽きない。
しかも、京極堂の本気モード入ってからのシーンは張り詰めた空気感が伝わってきて痺れました。

解決に至るまでは怒涛で
集中して、ページをひたすらめくってました…

で、やはり最初の関口と京極堂の会話
これが効いてくるし、会話した後の関口さんが「現実と仮想の認識によって、自分自身の存在を疑う(ぐらつく)」それと同様に読んでいる側も大きく揺さぶられ「全て何が真実なのかわからなくなる」そんな呪いをかけられた状態で進む。

コレはシリーズ全て読んでみたい。

発表当時に賛否が分かれた点については、後で少し調べてみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年11月26日
読了日 : 2020年11月26日
本棚登録日 : 2020年8月25日

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