シヴェルニーの食卓につづき、二冊目の原田マハ。
深い緑が印象的な「夢」を題材に、アンリ・ルソーの絵をめぐるお話でした。
もともと美術が大好きなのですが、キュレーター目線から物語を読む、ということが新鮮でした。それも、内容としてはルソーの謎の絵画をめぐるものです。
有名な画家の絵が今でも発見される今日、それこそ「夢」のある話です。
この小説では、ルソーの謎に迫るためもう一つの物語を読んでいくのですが、この物語自体がとても面白く、小説の中の登場人物といっしょに「続きはどうなるんだ?」とワクワクしながらページを手繰りました。同時進行的に、ティムと織絵の物語も進み、一つの絵をめぐってさまざまな思惑が交錯していくさまが見事です。
さらに、この物語は基本的に「回想型」になっていて、複雑な謎が面白いほど絡んできます。ティムと織絵の関係は? 「夢」はどうやって描かれたの? ティムはバレずに進められるの? いくつもの引っかかりが最終的には収束していき、爽快な読後感を味わえました。
ミステリーとしても面白いのですが、さまざまな意味で非常に夢のある小説にしあがっていますし、美術に関心があるほどに、小説内の研究者的視点が興味深く感じられました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年1月11日
- 読了日 : 2017年1月11日
- 本棚登録日 : 2017年1月11日
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