アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

  • 早川書房 (1977年3月1日発売)
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題名の印象が強烈な作品です。
アンドロイドと人間の違いは何か?
古典的作品となった本作ですが、AIが発達してきた今だからこそ通じるものがあると思います。

一言で言えば、人間の世界に紛れ込んだアンドロイドを見つけて狩る物語です。
けれども、その過程で、バウンティハンターのリックは、アンドロイドも生命ではないかと苦悩していきます。

第三次世界大戦の影響で、死の灰が降り注ぎ、生き物が住めなくなった地球が舞台。
ほとんどの人類は火星に移住し、地球には選ばれざるものたちが住んでいます。
生き物たちも模造品です。リックも電気羊を飼っていますが、本物の羊に限りなく似せた存在を忌々しく思っています。

本物の羊が欲しい。リックはそう思います。
リックは、どうしてこんなに生き物に執着するのか。
すごく不思議な感覚だったので、興味を惹かれました。

ストーリー展開自体が面白く、飽きずに読み終えました。
アンドロイドの存在が限りなく人間に近いものでありつつ、明確に人間ではない冷たさもしっかり描いています。
アンドロイドらしさの描写は、かなり細やかです。
人間の中に芽生える執着心や、思いやり、苦悩は、彼らには見られません。
彼等の言動にはひやっとしたものをたびたび感じで戦慄しました。
だからアンドロイドは所詮アンドロイドという話でもなく、アンドロイドという生命体への敬意を感じるラストは、人間の人間たる性質までも伝えていてよかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 娯楽 基
感想投稿日 : 2021年9月28日
読了日 : 2021年9月28日
本棚登録日 : 2021年8月29日

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