八日目の蝉 通常版 [DVD]

監督 : 成島出 
出演 : 井上真央  永作博美  小池栄子  森口瑤子 
  • アミューズソフトエンタテインメント
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本棚登録 : 2464
感想 : 553
4

小説を省いたところも多く、ラストの演出なんかは映画ならではだと思った。
どの女優さんも自分の役を演じきっていて、小説では泣かなかった私も、なぜか涙が誘われた。

映像がつくことによって、母娘の双方のやりとりがより鮮明になった感じ。
お互いの間に流れている空気が、親子そのものだから、より2人の時間の幸福感が感じられた。
小豆島の雰囲気がとてもよかった。
沢山愛してくれた人が、自分から普通の暮らしを奪った人でもあって…。
その事実がとても切ないと思う。

どうしょうもない男を好きになって、別れを告げる場面。
希和子が薫に感謝を伝える場面。
恵里菜が小豆島を訪れる場面。
失わなきゃいけないものが沢山あって、自分自身がこれまで失ってきたものを思い出されて、涙が出たのかもしれない。

改めて見ると、やっぱり男が元凶じゃないか!と思うんだけど…。
劇団ひとりが気持ち悪かったからかもしれないけど。
女はたくさんの喪失を経験させられて、男は面倒からは逃げて。
ずるいなぁと思う。
夢ばっかり見せられて信じてしまうのも悪いのかもしれないけれど、恋愛している時は夢を見てしまう人だって多い。
好きな人なら信じたいし。

誘拐犯が悪いと一言で言えなくて。
私はどうしても希和子に同情してしまう。
客観的に見れば間違っているのは希和子なのはわかる。
恵里菜から全て奪ったのは間違いなく希和子だし、いろいろな人たちを不幸にしてしまったし…。
それでも、からっぽのがらんどうだと言われて、子どもを産み育てる喜びも奪われて追い詰められて。
そんな彼女が子供の姿を見て自分の生まれるはずの子どものように感じてしまう。
なんにもなくなったから、もしかしたらの子どもの存在を感じてしまったら止められなくなって。

そこまで追い詰めた恵津子の気持ちも少しわかる。
旦那を取られて家庭を壊した元凶に、言い過ぎでも復讐心があって、追い詰めて追い詰めて。
自分には子どもがいるってマウント取らなきゃ許せなかったんだろうなと。

何もかも奪ってしまった希和子だけど、愛情だけはしっかりと恵里菜に伝えていたことがよくわかる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月29日
読了日 : 2021年5月29日
本棚登録日 : 2021年5月29日

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