モンスター

著者 :
  • 幻冬舎 (2010年3月25日発売)
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感想 : 343
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久し振りに百田さんの作品をゲット。タイトルは「モンスター」。
さてさて、どんなモンスターなのか・・・。
「海賊と呼ばれた男」「永遠の0」などのイメージから
経済界の大御所かと思ったのですが、それにしては表紙が美女っぽい。
なんだかちょっと違うなとページを進むにつれ、やっぱりと。

主人公は田舎町にできたしゃれたレストランの経営者。
誰もが振り返るほどの絶世の美女、鈴原未帆だ。
田舎町でレストラン経営する美女は街中の噂となり、
次から次へと町の有力者たちや住民がやって来て、
小さなレストランは大入り満員状態だった。
たびたびくり返される誘惑の手にものらず、
未帆は経った一人の男性との再会を待ち望んでいた。

ページをめくるにつれて明らかにされる未帆の過去が強烈!
絶世の美女の過去の姿とは、
「バケモノ」というあだ名がつくほどのブスの
暗い性格の少女、田淵和子だった。
現在レストラン経営をしている田舎町で生まれ育ったものの、
その容姿から子供たちの間でもいじめられ、両親からも疎まれる。
もちろん初恋も実らず、
失恋させた相手に対して復讐をする計画もやぶれ、
「怖い女」「モンスター」と噂されて、
逃げるように東京の短大へ進む。
その時に本名をすて、
母方の祖母の養子となる形で今の氏名を名のることになる。

東京へ出てからもブスに対する世間の目は冷たかったが、
主人公はふとしたことから、美容整形を知り
徐々に徐々に自分の顔を変えていく。
整形にかかる莫大な費用も稼ぐために
最も手っ取り早い仕事・・・風俗の世界へ飛び込み、
荒稼ぎしたお金をほとんど美容整形に費やして
どんどんとブスから美女へ転身していったのだ。
それもこれも
幼い頃に助けてもらった経った一人の男のため。
生まれ持った自分の顔につぎつぎとメスを入れて
生まれ変わったようになっていく主人公。
そのためには自分の身体なんて、どうなっても構わないのだ。
この情念は、モンスターなみに、強いものだった。

女性の美への追求、憧れ、が手に取るようによく描かれていた。
女同士の嫉妬や美人やブスをみる思いまでも、赤裸々に描かれている。
女心を知る上で、とても参考になる作品だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年3月6日
読了日 : 2016年3月6日
本棚登録日 : 2016年3月6日

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