京極夏彦小説に挑戦。ブク友の土瓶さんにオススメを教えていただき、課題図書となった。
この世界観が好きどうかはまだ分からないけれど、展開が面白く忘れられない。京極堂のキャラが好き。
序盤は脳科学とか心理など難しい話が続くが、中盤の京極堂による憑き物落としやらで事件の真相が判明していくのが面白い。
同じ女なんだけど、女って恐ろしい。でも可哀想。娘として女として母として…心の持ちようによっては何にでもなれてしまうものなのかもと涼子さんにちょっと共感した。それにしても梗子と涼子姉妹の名前がややこしいことよ。
あと舞台となった家の呪いの存在。最初に吹き込んだヤツと洗脳されたヤツ、本気で信じているヤツが一番悪い。
また読んでいて現実と幻想!?が入り交じるので、重苦しい感覚がした不思議と、ひゅるるるるる〜とか、ひえぇぇぇぇぇ〜と風や人の声のような静かでかつ不気味な音、また時には爆風が聞こえてくる体験をした。
小学生の時の不穏な出来事を思い出す。
当時住んでいた家の近くの3階建ての昭和の廃墟ビル。そこに足を踏み入れると二度と外に戻れないという…。親も「絶対にあそこには近づくな」と言う。このビルには何かあると信じていた。
「今誰かが入って行ったらしい」と聞けばすぐに駆けつけ、小学生の野次馬が集まった。一度入るとなかなか戻ってこない。待ちきれず野次馬もぱらぱらと散っていく。その後誰も結末を知らないし語らなかった。──(完)
京極堂がそんな私たちを見たら嘲笑うだろう。「君たち、不思議なことなど何もないんだよ」と言って。
Googleマップで確認してみたらこのビル、まだ残っていた。割られた窓ガラスは直され、人が使っている模様。緑色のレンガ造り風の外壁は今も変わらずそのまま。恐ろしい場所なのに、ああ…なぜか懐かしい……。
- 感想投稿日 : 2023年1月28日
- 読了日 : 2023年1月21日
- 本棚登録日 : 2023年1月28日
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