春は別れと出会いの季節。この季節は苦手だ。
職場で長く一緒だった人たちの異動や退職を先日知り、寂しい気持ちでいっぱい……。特に今年はショックを受けた。
そんな気持ちを埋めてくれるような春にぴったりな物語はないだろうかと、また図書館のレファレンスコーナーを利用してみた。
そして司書さんが「こちらにいらしてください」と案内してくれた先は、日本文学のアンソロジーの書架。………(・・;?
司「そんな時はアンソロジーがオススメです!」
(…なんか思ったのと違うんだが…)
司「色んな作家さんの本を読むといいです。良い話もたくさんあります」
(…求めていたのと違うけど、ありがとう^^;)
……という経緯で、いつものように警察小説やミステリーを選びそうになるところ、「いやいや、今の私には心温まる話がいいっしょ?」と、何となくタイトルから本書を手にしてみた。それが良かった。
親子、きょうだい、友だち、恋人…これから同居開始する人もいれば、解消する人もいる。期待や焦りや不安、寂しい気持ちになったり、新しい一歩として前向きな気持ちになったり、人それぞれだ。一つ屋根の下で繰り広げられる物語に、心温まった。
この季節は、おニャン子クラブの「じゃあね」を口ずさみたくなるのは私だけだろうか。古いか。
♪四月になれば 悲しみは キラキラした思い出
特に良かった話
【それでは二人組を作ってください】朝井リョウ
小さな頃からうまく二人組になれなかった私が、仲良くなった子とルームシェアという二人組になりたい話。
【隣の空も青い】飛鳥井千砂◎
無愛想な先輩(男)と韓国に出張した俺。案内されたホテルの部屋は、手違いでダブルベッドだった。
【女子的生活】坂木司◎
メイクが得意なともちゃんと、洋服選びが得意な私の“女子”ライフ。“お口はミッフィー”な展開。
【冷やし中華にマヨネーズ】吉川トリコ
13年同棲生活する恋人たちは今や家庭内別居状態。あることがきっかけでその暮らしも終わりが見えて来た時の、相手への想い。
◎各物語ごとに、その物件のインフォメーション(最寄り駅、築年数、家賃、間取り図など)が添えられているのも面白い。
- 感想投稿日 : 2023年3月29日
- 読了日 : 2023年3月29日
- 本棚登録日 : 2023年3月29日
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