同じ著者の「こうして歴史問題は捏造される」を先に読んでいたので、1次資料を丹念に読みこんだ有馬氏の主張の正当性は信頼できます。
特に印象に残ったのは、原爆投下は正当だったのかという日米の国民へのアンケート調査の結果です。
2015年に行われた結果ですが、米国人は56%、日本側が14%は正当だったと答え、不当は米国34%、日本79%(つまりどちらでもない層が米国は10%、日本は7%いた)という数字です。
戦争を早期終結を目指すためという大義名分であの無差別殺戮が許されてはなりません。
非戦闘員を狙った悪質な残虐行為です。
にもかかわらず、というかGHQの戦後教育の成果というか、日本人の14%、さらにどちらでもない層を含めると21%の日本人(5人に1人!)が明確に不当行為だと言えない実態に驚愕です。
米国が原爆投下によってやりたかったのは、戦争終結という建前で行われた核による人体実験(それも欧米戦にではなくイエローモンキーと揶揄されていたアジア人に対してですから人種差別的な側面も否定できません)です。
軍事施設のない広島と長崎に投下するという最悪の選択肢の前に、まず無人島に落として核爆弾の恐ろしさを知らしめることも可能だったわけだし、一般市民を巻き込まないために軍事施設のみを狙うことも可能だったし、さらになぜ2発目が必要だったのか、という点において、十分に納得のいく説明がされているとは言えません。
やはり、この章だけでも、中学生の社会科の副読本として使ってほしいものです。
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- 感想投稿日 : 2018年4月13日
- 読了日 : 2018年4月13日
- 本棚登録日 : 2018年4月13日
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