夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2000年5月19日発売)
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本棚登録 : 21685
感想 : 2365
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幼馴染の兄に担がれ運ばれる私は、木から落ちて死んでしまった。幼馴染に押されて落ちて即死したのだ。
兄は泣きじゃくる妹をなだめて冷静に死体の処理を考え、怪しまれないように隠ぺい工作する。それを淡々と解説する私。未練など微塵も感じさせない落ちつきぶりで兄妹の行動を実況している。

ありえない現象なのに蠢く本能が脳を刺激してこの設定を許容してしまいます。

兄妹は突然の出来事に常軌を逸して正常な判断能力を失い、あやかしの入り込む隙間を作ってしまったのかもしれない。そしてあやかしが倫理観を壊していく。
計画性のある犯行じゃないし事故で片付けることもできたと思うのですが、全力でもみ消そうとする4日間。
死体の私は俯瞰できてるのに対して、兄妹は俯瞰できず隠すのに必死で死体に翻弄されている様子が滑稽にみえてきました。兄は楽しんでたようですけど。
上方落語の「らくだ」のように。
思えばあれもホラーっぽい話なんですが滑稽な話に仕上がってました。

そして結末に、思考はフリーズしてしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2023年5月15日
読了日 : 2023年5月15日
本棚登録日 : 2023年5月1日

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コメント 2件

なおなおさんのコメント
2023/05/15

しじみさん、はじめまして!
フォローといいねをいつもありがとうございます。
「結末に思考が“フリーズ”した」…うまい事おっしゃる〜と思いました(*ºωº*)!!
私はあそこにまた○体が増えていく気がしてなりません( ;꒪⌓꒪;)

つくねさんのコメント
2023/05/15

なおなおさん、こちらこそです。
コメントはいろんなところで拝見してましたのではじめましての気がしないのですが嬉しい限りです♪

カゴメカゴメで怖すぐる_:(´ཀ`」 ∠):

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