ジャズ関連オススメ本ということで購入。
自分の感覚で端的に言うと、「極めて洗練されて、もはや原作者がスピンオフ作品を書いたのではないか、と思うような同人誌」だと思った。
ジャズの巨人たちの生きた断面について、実際のエピソードも交えつつ、今その場所で起こった事実を描写するかのような文体で描いたもの。虚実交えたもので、必ずしも事実のみに依って伝記小説にした訳ではない、ということだが、そのことがかえって、事実の羅列よりも臨場感を生み出すことに繋がって、没入できた。
ああ、たしかにこのミュージシャンはこんな感じだろう、というところから、なるほどこのミュージシャンはこんな背景があってこそなのか、というところまで、ますますそのミュージシャンに興味が湧く一冊だった。
訳書だが、随所に村上春樹フレーバーが感じられる文なので、ジャズにはそれほど興味がない村上春樹ファンも楽しめるかもしれない(全くジャズに興味がない、だとちょっと厳しいかもしれない)。
世間的評価も高く、村上春樹としても訳者あとがきで絶賛しているだけあるな、と
感じられる本だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2020既読
- 感想投稿日 : 2020年11月14日
- 読了日 : 2020年11月14日
- 本棚登録日 : 2020年11月14日
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