民王 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年6月10日発売)
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本棚登録 : 6618
感想 : 653
4

上手いなぁ。

そして実に面白い。

総理と息子が主役を務める物語は当初なんてコミカルな...と思わせる内容(そりゃ、親子が入れ替わっちゃったらね)から始まるが、後半にかけていろんなパターンでグサグサ刺さりまくりでした。

金、女、政治、利権...普通の庶民が感じている政治不信の要因をこれでもか〜って感じで詰め込み、普通の政治家なら答えられない答弁や態度を示していく。

そりゃそうだよね、だって総理の中身は息子(大学生)なんだから。

そしていい味付けをしているのが、妻であり、母でもある綾の存在。

たまに出てくるだけなのに良い事を言うよね。

クライマックスでは入れ替わりが解け、武藤泰山総理が政治生命をかけて新薬許認可法案を国会に提出し、可決成立させた直後に衆議院の解散させる。

最初はこんな総理で大丈夫?と思っていた泰山だったが、カッコいい姿を見せてくれました。

そして、息子の翔の成長物語としても十分に楽しめる一冊。

日本が抱える幾多の問題を笑いを交えて風刺し、真っ正面からではなかったかもしれないが、向き合った作品。

一気読み間違いない作品でした。


説明
内容紹介
遠藤憲一×菅田将暉W主演でテレビ化されて大反響――
『民王』伝説はまだまだ終わらない!
夢かうつつか、新手のテロか? 総理と息子の非常事態が発生――。
「お前ら、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか。目をさましやがれ! 」漢字の読めない政治家、酔っぱらい大臣、揚げ足取りのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。
総理の父とドラ息子が見つけた真実のカケラとは!? 謎が謎をよぶ、痛快政治エンタメ!
内容(「BOOK」データベースより)
内閣総理大臣の誤読が報じられるたび、どうしてそんなことが起きるのか不思議でなりませんでした。2009年当時のことです。1億2000万人も国民がいるのに、なんでそのリーダーが漢字を読み間違えるのか――。
ところがあるとき、私は唐突に、その理由がわかってしまったのです。いまでもよく覚えています。当時仕事場のあった渋谷某所の歩道橋を渡っていたとき、それは天啓のように閃いたのでした。
そうか、総理はきっと、どこかのバカ息子と脳波が入れ替わってしまったんだ――。
総理大臣がそんなことになっても、さすがに国防上の問題があって公にすることはできません。国際的な信用にも関わります。私も黙っていようと思いましたが、その後政権も交代し、もはや沈黙する意味はなくなりました。
そこで、小説という形で、事の真相を皆さんにお知らせしようと思い立って書いたのが、この『民王』です。
バカげていると思われるかもしれませんが、ここに書かれていることは“おそらく"すべて真実です。
いっておきますが、私にはとくに政治信条もなければ、当時の内閣総理大臣に対しても、好きとか嫌いとかいう感情もありません。
ただひとりの冷静で客観的な物書きとして、当時誰も気づかなかった真実を世の皆さんに知らしめるために、この小説を書いています。どうか、くだらないとかバカバカしいとか、いわないで頂きたい。そんなことは、書いている本人が一番よくわかっています。
その上で、まずはご一読頂きますよう、筆者からお願い申し上げます。
(この雑文に書かれていることは、すべてフィクションであり実在の人物とはなんら関係がありません。ちなみに、作者の脳波も正常であります。)
――本の話インタビュー「自著を語る」より
著者について
池井戸/潤
1963年岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒業。98年『果つる底なき』(講談社文庫)で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』(講談社文庫)で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』(小学館)で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池井戸/潤
1963年岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒業。98年『果つる底なき』(講談社文庫)で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』(講談社文庫)で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』(小学館)で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月28日
読了日 : 2020年12月27日
本棚登録日 : 2020年12月6日

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