森博嗣さんはそろそろ執筆を辞めるんではないかと囁かれていますね。難しそうでいてとっても分かりやすい文章で、あらゆる分野で面白い本を書ける人なので、もっと名作を残して頂きたいです。まだまだ若いんですし。
そんな森博嗣さんの自伝的小説です。
大学で理想の研究者喜嶋助手と出会って、次第に研究にのめり込んでいく青春小説(?)です。
研究者というと変わり者というイメージですが、この本読むとやっぱり変わっているんじゃないかと確信を深めます。主人公も変わっているし、先生も変わっています。
でも、この変わっているけれどどこか間抜けで真摯で温かい姿がとても愛おしいです。世の中と折り合いをつけるのが苦手な子供の心を残したまま、秀でた頭脳を持ってしまった人たち。次第に皆大人になって社会に飲み込まれていくのに、喜嶋先生だけは静かな学究の世界に留まっているのではないか?それを主人公も神に祈るように望んでいます。
表紙があらわしている通り、とても清らかでシンプルな世界に生きているのが学究の徒なんだなと思いました。
この本はあくまで小説なのでモデルが居ても、作りだされた人格です。それを証明するかのように、広げた人形劇をぱたぱたと片付けるように、あっという間に店じまいします。森先生何考えているのか分からないけれど、取り残された僕の心に温かさと空疎さを残して、忘れられない本になってしまいました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年2月7日
- 読了日 : 2020年2月7日
- 本棚登録日 : 2020年2月7日
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