登場人物が多く、視点もすぐに変わる。視点が変わるときのほとんどは段落替えになっているけれど、ちょうどページの切れ目で段落替えされることが多い。そのため、段落替えに気づかず視点が飛ぶといった形になり読みにくい。また読点とダッシュが多く、一文が長い。「そうでなければ先週も歯医者のあの狭い待合室で近藤に会っていただろうし、この前の日曜日にたまたまいきなり草子が訪ねてきて、道子に訪ねた帰りだというのにもおどろいたが、それ以上に草子がめずらしく昔みたいにーー昔、というのは陶子が水沼と結婚する前、姉妹が四六時中一緒に遊んでいた頃という意味だったがーー、陶子に対して自分のことを喋ったのにおどろき、ついいそいそと早めに夕食の準備をし、休日出勤していた水沼を待たずに草子と二人でそれを食べたりして、結局クロの散歩は夜になってから、帰っていく草子を送りがてらということになったのだが、それでもこれほどーーたかが犬の散歩にいくのにーー気おくれはしなかっただろうと思うのだ。」これで一文。これを自然に読める読者が凄いと思う。
子供特有の支離滅裂な話はとても上手い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年1月5日
- 読了日 : 2016年1月4日
- 本棚登録日 : 2016年1月4日
みんなの感想をみる