著者の山形浩生さんについては、『ウンコな議論』という本の訳者として知りました。『ウンコな議論』は短いながらも内容の濃い、タイトルで食わず嫌いの人を増やしていると思われる、非常に勿体ない本。
この本を読んで何よりもインパクトがあったのが、本論と同じぐらいの長さの「訳者解説」がされていたこと。初めてこれを読んだ時は、当たり前ながら「何じゃこりゃあ」となりました。しかし、この『訳者解説』を読んで、これが山形さんの通常スタイルだということが判明。
この本では、山形さんが翻訳した本のあとがき、つまり「訳者による本の中身の解説」」がまとめて収録されています。いずれも、本そのものはタイトルと著者、装丁ぐらいしか紹介されてなくて、中身はがっつり解説と自分なりの解釈。それらが、「誰が読んでも分かりやすいように、本論の魅力を伝えられるように、かつ賛成できない部分についてはしっかりNoと明言して」書かれているので、この『訳者解説』を読んだだけでも、訳書を数冊読んだような感じになります。
個人的には、環境破壊に関する定説を論破したいくつかの書籍の「訳者解説」が気になったので、次はその辺に手を出してみたいと思います。
いやしかし、本を解説する本を読むと、著者なり訳者なりの矜持が読み取れて面白いですね。この手の本がもっと増えれば好いのにと思いつつ、毒にも薬にもならない作品ばっかり訳してる人に同じことされたらムカつくなぁ、などとも思ってしまいます。本読みってのは、基本的に我が儘ですね。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
娯楽
- 感想投稿日 : 2012年6月3日
- 読了日 : 2012年6月3日
- 本棚登録日 : 2012年6月3日
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