悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

著者 :
制作 : ピエール・ルメートル 
  • 文藝春秋 (2015年10月9日発売)
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感想 : 452
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サイコキラーと刑事の熾烈な戦い! あなたはきっと衝撃的な真相と結末に襲われる #悲しみのイレーヌ

■レビュー
悪夢のような、息苦しく抜け出せない感覚… なんとも、もがき苦しめられる作品です。

次々と事件が発覚するが、大した実績が上げられずに捜査が迷宮入りしていきます。警察官たちの焦りが手に取るように読者に伝わくる。

事細かくやたら丁寧に綴られる事件描写が凄まじい。
なかり陰惨な殺人事件のため、読んでいてなかなか辛いんです。しかしこの昔ながらの殺戮表現で綴られるミステリーは、昨今の日本の小説では味わえない魅力がありますね。

そして本書は陰気な雰囲気がいい意味で素敵。
事件自体もそうですが、街の情景、警察内部の争い、事件の関係者などなど。全編通して雨でも降ってるんじゃないかと思えるほどの息苦しさ、蒸し暑さが文章からにじみ出ています。

なんといっても本書の魅力は、ミステリーの真相部分。
終盤の強烈な展開から怒涛の終焉までは、まさに読まずにはいられない熱中の読書タイムでした。こんなの読んだことねぇよっ

次回作アレックスでは、いったいどんな仕掛けをしてくれるのか楽しみです。

■推しポイント
この本は悪意と憎悪が読者に襲い掛かってきます。

私もかつて人を憎んでしまったことがありました。
しかし家族を持つことによって、いかに愛を育むか守るかを大切に、どんなことがあっても前向きに生きようと心に誓ったものです。

彼の気持ちを思うと、ただただやるせないです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2022年9月25日
読了日 : 2022年9月24日
本棚登録日 : 2022年9月24日

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