江戸時代、蝦夷松前藩内の恋愛もの(じゃないものも)。
「たば風」
許婚のまなと幸四郎であったが、結婚を前に幸四郎が倒れ半身不随となってしまう。まなの両親は縁談を断り、翌年まなは伝十郎の嫁となる。しかし、藩の跡目相続に巻き込まれた際に再び幸四郎と出会う…。
「恋文」
江戸詰めである赤石刑部に見初められた呉服屋のみく、一方的に縁談は進み、四人の子をもうけた。一番下の息子右京の元服も終り、刑部が隠居のため蝦夷の地に戻る事となっていた。みくは刑部に対し、長年情もわかず、これを期に離縁を申し出ようとしていた。しかし、息子右京に百通の恋文を刑部に対して書かなければ離縁を了承しないといわれてしまう…。
「錦衣帰郷」
出羽国の出身の最上徳内が調査のため蝦夷地に見分隊として幕府から派遣される。蝦夷(アイヌ人)や今の北方領土、松前藩の所業について調べ旅をする内に出世し、出身地出羽国の村に帰ってくる話。
「柄杓星」
幕末、婚約をしていた仙太郎と杉代であったが、仙太郎が彰義隊に入ることとなり、婚約は破棄となった。上野の戦いで生き残り、杉代の兄に匿われ、再び会うことができるが…。
「血脈桜」
これも幕末、松前藩足軽の娘たち、六人は藩主の奥方の護衛を頼まれる…。
「黒百合」
御一新の後、食い扶持がなくなり剣劇の見世物小屋で働く以登と千秋。以登の家族は路銀を都合することができ、駿河に移っていった。しかし、千秋の父と兄は金を貯めずに飲み食いに使ってしまう。千秋は見世物小屋で一緒に働いていた紋十郎に好かれ…。
私は、「恋文」が良いなと思った。
最初は結婚から傍若無人な振る舞いをしている刑部に情はないと思っていたみくだが、恋文を書いていくうちに徐々に自分の至らなさと刑部の優しさ・みくへの思いに気づいていく所が。
蝦夷、今のアイヌ人の事が所々でてくる。アイヌ人の事を詳しく書いた本も読んでみたい。
- 感想投稿日 : 2016年12月15日
- 読了日 : 2011年8月27日
- 本棚登録日 : 2016年12月15日
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