源氏が崩壊していく巻。
柏木と夕霧も恋に惑って憂き目を見る。
そして女三宮の降家・・・これが決定打。
紫の上を深い悲しみに突き落とした。
いい歳になっても女性への興味が失せない源氏と、
出家を望む紫の上。
二人のすれ違いが悲しかった。
紫の上の人柄のよさを源氏が讃えるのも束の間。
彼女は病に臥してしまう。
それからの痛々しいまでの源氏の献身的な看病ぶり。
かつてのキザなプライドはどこにいってしまったのかと思うほど。
どうして人は、失って初めて、愛の深さ重さに気づくのか・・・
読み終わって、しばし茫然とした。
長編を読み終わったというより、一人の長い人生を見届けたという感じ。
なんと華麗な人生であったことか。しかし山は高いほど、谷も深い。晩年の源氏は幸福だったとは言えまい。
単なる恋愛小説に終わらない、人生の重さと儚さを教えてくれる。
改めてこの作品のすごさを感じた。
源氏物語の国に生まれてよかった、というのが感想。
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2009年1月11日
- 本棚登録日 : 2009年1月11日
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