防衛省航空幕僚監部広報室に勤務する魅力的な人たちの魅力的なお話。防衛省には、広報を担当する部署があるのか。知ってたような、知らなかったような。
この作品を通して有川さんがたびたび書いているように、人間は関心のない領域には、とことん無関心でいられてしまうからなあ。自衛隊のこと、知らなくても平気だったというのは、我ながら恥ずかしい。
今回の有川作品も、キャラがいい。
不慮の事故でパイロット免許を剥奪され、広報室にやってきた空井くんはじめ、取材対象という記号でしか人を見ようとしなかったため、報道部を異動させられた稲葉リカ、広報ベテランの比嘉を意識して失敗ばかりの片山、女であることに仕事上コンプレックスを感じ、おっさんのように振舞う油木、彼女を慕う槙、そして飛び抜けた感性と行動力を持つ室長、鷺坂。
みんなかっこよすぎるよう。
自衛隊の人たちって、こんなにかっこいいの?自分たちには何の見返りもなく、有事の際には家族も放って事故現場に駆けつける。自分たちのことは二の次。今、困っている人を最優先に助ける。
けれど、無関心な人たちからは、「税金を無駄に使っている、暴力的な集団」とみなされてしまっている。そんなの、ダメだ。
広報は、そのためにある。自衛隊を知ってもらうために「広報室」がある。知ってもらうことは、本当に重要なことだ。
テレビドラマの中で、たった数分間、自衛隊が所有する戦闘機が映る、ドラマのキャストが「航空自衛隊」と台詞を言う。これに、何百人という職員と、何百時間という時間が掛けられているのか、この作品を通して初めて知った。
これを知った今、私はもう自衛隊に無関心でいられない。自衛隊について、検索だ。
- 感想投稿日 : 2012年12月4日
- 読了日 : 2012年12月1日
- 本棚登録日 : 2012年12月4日
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