ある人殺しの物語 香水 (文春文庫 シ 16-1)

  • 文藝春秋 (2003年6月10日発売)
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本棚登録 : 2997
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さまざまな匂いのひしめく世界において、ただひとり匂いをもたない人間であり、至極の嗅覚をもつ男、グルヌイユの人生の物語。

愛されたことがないために、愛を知らない。
そんな彼が、至高の香り(=処女の美)を求めて、25人の女性を殺した後に「愛」そのものの香りを手に入れる。
それを通じてありとあらゆる人間に愛されるけれども、皮肉なことに彼はやっぱり、愛を知ることができない。

彼が自分にだけ匂いがないことを知ったときの悲嘆が、とても切なかった。

本当に彼が欲しかったものは何なのだろう。
彼は最期まで、一番欲しかったものを得ることができなかったように思う。

今までに読んだことのない類の小説だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月16日
読了日 : 2020年6月16日
本棚登録日 : 2020年6月4日

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