さまざまな匂いのひしめく世界において、ただひとり匂いをもたない人間であり、至極の嗅覚をもつ男、グルヌイユの人生の物語。
愛されたことがないために、愛を知らない。
そんな彼が、至高の香り(=処女の美)を求めて、25人の女性を殺した後に「愛」そのものの香りを手に入れる。
それを通じてありとあらゆる人間に愛されるけれども、皮肉なことに彼はやっぱり、愛を知ることができない。
彼が自分にだけ匂いがないことを知ったときの悲嘆が、とても切なかった。
本当に彼が欲しかったものは何なのだろう。
彼は最期まで、一番欲しかったものを得ることができなかったように思う。
今までに読んだことのない類の小説だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年6月16日
- 読了日 : 2020年6月16日
- 本棚登録日 : 2020年6月4日
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