香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

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制作 : Patrick S¨uskind  池内 紀 
  • 文藝春秋 (2003年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167661380

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • これは凄かった。
    通勤電車の中で読むより、静かなところで一気に読みたい。
    爽やか読後感、0(ゼロ)。
    勧めて下さった書店さん、ありがとうございました。新年そうそうに読まなくて良かったかも。

    映画化してほしいような、してほしくないような。

  • あらすじ
    18世紀のフランス・パリ。ジャン=バティスト・グルヌイユは、常人にはない嗅覚を持っていた。他方で彼自身には匂いがまったくなかった。「古今を通じて最高の芳香を生み出す、もっとも偉大な香水調合師」であり、大量殺人者でもある1人の小男の生涯を描く奇想天外な物語。

    感想
    終盤に至るまでは、冗長でさほど面白いと思えなかった。しかし、グルヌイユが再び殺人を犯し始めた終盤は素晴らしい。グルヌイユの死に方が予想外であり、同時に、この奇妙な物語の終わりに相応しくもあった。

    私は鼻が効く方ではなく、しかも香水だけではなくアロマ関連の匂いも苦手なので、匂いや香りがもつ力に対してはあまりピンとこない。それでもなかなか楽しめた小説だった。

  • 読みながらつい鼻をひくひくさせちゃう。においの話しは面白いね。
    多少冗長なところもあるけれど、わーっと楽しく読めます。

  • すっごい変な小説!でも、好きなやつだ。
    主人公のグルヌイユは絶対嗅覚の持ち主だが、自身に臭いはない。「臭い」がテーマという奇想天外なストーリーである。
    とりあえず、臭いの描写が精妙で読んでて気持ち悪くなったり、興味を持ちせてくれたりする。
    香水に興味が湧いた。
    嗅覚って変わった器官?だよなぁー
    臭いは勝手に漂ってくるしね。
    グルヌイユが見て感じた世界って想像もつかない。臭いに色がつけば楽しいとか思ってたけど、違った。
    世界には思いの外、沢山の臭いがあるようだ。
    ホント、おかしな小説だ。

  • 匂いのみで世界を構築する存在がたまたま人の姿で生を受けたその時から、彼の欲望が、同族であるはずの人間のすべてから理解されずに捨て置かれることは決まっていた。たとえ彼がその術を持って世界を征服しようとも。

    ページを繰るごとに襲ってくる匂いの洪水に、けれども身構えることなかれ。
    物語の構成は丁寧で緻密、骨子がしっかりしていて盛り上がりも文句なし、世界で200万部超を売り上げたというのも納得、匂いの渦の中を翻弄され、話の進むままにただ流されたくなる、たいへん読みやすく、面白い小説でした。
    難を言うなら流麗で軽快な文章がために、おぞましいはずの場面にもある種の華やかさが漂ってしまうところ。個人的にはもう少し重くても良かったかな。

    それでも所々に覗くユーモアにはやっぱりクスリとさせられ、特に主人公のグルヌイユが行く先々で関わり合いになる人々のその後の顛末など、どれも大層ブラックながら思わず笑ってしまうような可笑しみがありました。エスピナス侯爵の無謀な挑戦とか滑稽で哀しかったなあ。

    神の存在など一顧だにしなかったグルヌイユ自身の、気まぐれな神の手のひらで渇きにのたうちまわるがごとくな人生にある種の皮肉をおぼえずにはいられませんが、残り香がふいっと立ち消えるような、孤独で鮮やかな彼の幕引きには、ほっと息をつく美しさがありました。
    あとはその余韻をこわさぬよう、そこにかつて存在した香りの跡形をそっとなでるのみ。

  • 面白い。
    稲垣吾郎が面白い小説だって、17年くらい前に言っていたが、その通り。
    「香水」というタイトルだけど、「香り」よりも、むしろ「匂い」を感じます。
    嗅覚を視覚で刺激する・・・。
    題材で勝負あり!という感じです。

  • 絶対嗅感とでもいうべきものを生まれながらにして手にし、その代りに体臭を一切もたない男、グルヌイユ。
    「処女の匂い」って、そんなにすごいものなのか。聖処女という言葉がある通り、ヨーロッパでは日本よりも処女性が重要視されるものなのかな。
    香りは目に見えないものなだけに、防御したり身構えたりできず深層心理に直接攻撃されるようなものなのだろう。恐ろしいセックスアピールだな。
    とは思うものの、この作品で表現される「匂い」が、生々しすぎてどちらかというと「臭気」で、全く萌えません。苦笑
    結末の奇妙に清々しい感じも好きです。

  • 映画のCMを見て、何故か映画を見ずに原作を買って読みました。なんででしょうか。
    内容は、もっと華やかで、もっと……なんだろう、恋愛に近いのかと思いきや、とんでもない。ある人間の苦悩に満ちた人生のお話でした。そうね、だからサブタイトルは合っているんだ。まごうことなき、「ある人殺しの物語」です。
    におい、というモチーフが、こうまで人の存在をゆさぶるのか、ということに戦慄しながら、読み進め、「異能」が人を孤独にさせることを学びました。
    なんていうか、動物性の脂のようなぬめりがあります。でもそれは、人間からは完全に取り去ることはできないもの。私からも、あなたからも、彼からも。じわりと毛穴をつまらせるようなお話でした。

  •  まずこの小説は、誰にも解る様に、「におい」の観点で見た世界である。
     嗅覚の擢んでた主人公、グルヌイユと、それによって産出される香水の話である。奇妙な世界観と、逸脱した展開性を孕んでいる。―しかし其れだけでは無い。

     本編のⅢ章でよく解るが、普通、最も展開性があり、様々な描写が含まれる筈の猟奇殺人について、あまりに単調である。機械的で、まるで1枚の絵の説明文の様な、頼りない表現ばかりである。―それは他の箇所にも言える。

     この小説には小説の匂いが無かった。

     背景描写は素晴らしい。 しかし肝心なところで多くを語らない。一枚の絵を、著す様に、唯それのみの表現しか無いのである。
     グロテスクな個所に其れをにおわせない。行動描写も心理描写も無い故に登場人物の、世界観の無機的な、香水の原料の様な単調さが窺える。

     余にも、小説としての癖が、「におい」が無さ過ぎた。匂いの描写が溢れている中で、この小説そのものに、においが無いのだ。其処を良しとするか、頸を捻るかは、人それぞれだと思う。私にもその辺りは理解し兼ねる。

     癖のある小説が好きな私には、物足りない気もした。しかし「におい」を想像する、否、読者がにおいを創造する、と考えれば、何処までもタイトルの香水、に沿って掘り下げられる本である。

     しかしⅣ章の直前から解る様に、この本は展開そのものが「におい」としてしか色付けられない。この話は匂いにおいてのみ盛り上がりを見せる。すなわち匂いの華やかさイコールが、描写の華やかさなのだ。

     この噺は香水、という「におい」は、普通の人間にするあらゆる感情だった。そしてグルヌイユ自身が「におい」を持たない。
     生まれ持って持っていなかったのは「におい」だけではなく、同時に「愛」を与えられなかった。否、におい、そのものが「愛」と言うべきなのかもしれない。

     グルヌイユは「におい」のみを世界として認識し、超絶なソレを求めた。しかし其れゆえに求めて居た「におい」が手に入った時、初めてその無意味さを知る。
     におい は創りだす事が出来たとして、感情は創りだせない。人間そのものは生み出せない。
     自慰行為の様に自分で創り上げたにおい、すなわち「愛」では、充たされる事はあり得ない事に気付く。手に入るものの虚しさを知る。

     グルヌイユにとって「におい」のみが現存在であり、におい を持たない自分は存在しない。 それは嗅覚に拘らずに生きる人々の認識の中でも、正反対でありながら同じ事だった。
     すなわちグルヌイユ自身は「存在」しなかった。

     最後の描写に於いても解るが、グルヌイユが香水そのものであった。形を持たない、香水というにおいだけのものである、人間と言う現存在では無い、という事だ。
     その最後のカニバリズムの描写で、そのにおいによって彼の全てを求めた人間は、食に於いて我を満たした。
     グルヌイユは自身として生きられなかった。人を纏って人として生き、人の中で生き、初めて「愛」そのものに成ったのだ。


     物足りない描写が在る様に思われるかもしれないが、あくまでそれは「におい」の濃度の問題である。
     なかなか斬新で面白い本だった。

  • 18世紀のパリって言われると、なんとなくマリー・アントワネットとか華やかなイメージがあるけど、初っ端から違います。まず、魚の内臓やらにまみれて産み落とされるグルヌイユ。しかもそのまま死んで欲しいという状況で…
    あとはもう、匂い匂いのオンパレード。あの頃って体臭を隠すために香水を使ってたでしょ。その匂いやら、花の匂いやら、もちろん嗅ぎたくないような匂いまで…

    どんな匂いも嗅ぎ分けられる、それゆえに自分の体臭がないのかなぁ。って思ったり。
    小説って匂いはわかんないじゃないですか。当たり前だけど。でも、描写も事細かで、想像でしかないけど、当時のパリ(下町)のひどい有様や、そこに漂っているいろんな匂いで、想像でしかないけど、むせ返りそうになりました。実際、読んでて何度も「ウェッ」ってなりました(汗)

    異常なまでの嗅覚を持っていた為に、究極の自分だけの匂いを求めて25人もの処女を殺していく。
    これだけだと、ただの『サイコ』になってしまうけど、なんだろ?なんか可哀想に思えてきました。産まれてからずっと恵まれない状況で、働いていても都合の良い使い捨ての道具としかみられない。本人は匂い以外には全く、皆無といっていいほど興味がなくて感情も欠落した状態で、淡々としているように描かれているけど、それがかえって…ね。

    最終的には、自分の求めていた匂いを作り出すことが出来るんだけど、かなりラストは衝撃的でした。
    果たして、この人は幸せな時ってあったんだろうか…?本当は産まれてくるべきじゃなかったのかもしれない。殺人を犯したってことではなくてね。

    小説・映画とどっちも『匂い』ってのに無縁なもの。
    それなのに匂いを思い出せてしまう。これを映像でどう表現していくのかが楽しみです。
    その内技術が発達したら、匂い付きの映画とかできるかもね。あ〜、その時はこの映画は観たくないかも…

    グルヌイユが匂いの記憶を辿っていくシーン。ちょっと共感できました。
    匂いって記憶と直結してるでしょ?誰かの匂いとか、場所の匂いとか。嗅いで思い出すこともあるし、匂いを思い出したりもする。

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香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)の作品紹介

18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに…欲望のほむらが燃えあがる。稀代の"匂いの魔術師"をめぐる大奇譚。

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