2月に金曜ロードショーで放送していたということもあって、本作を再読しようと思い再び手に取りました。1週目では感じ取れなかった伏線の多さに驚くとともに、人物それぞれの関係性にグッときました。やはり、本作は名作だなと。
本作の主人公は、学校に通えていない中学生の安西こころ。彼女はひょんなことから、クラスの中心人物たちに目をつけられ、学校に通えず、家で毎日を過ごしていた。そんな時、部屋にあった鏡が虹色に光り、手を伸ばすと、全く別の空間へと繋がっていた。そこで、使いの「オオカミさま」から命じられたのは願いの鍵を探すこと。その鍵を見つけることができれば願いが叶うというが、果たしてどうなるかというお話…
前回のレビューでも書いたと思うのですが、個人的に本作が素晴らしいなと思うことが2つあります。1つ目は、ミステリーとしての精巧さです。鍵がどこにあるのか、なぜその鍵探しに7人が選ばれたのかが基本的なミステリーの軸としてあるのですが、それを探るうちに謎が深まっていくとともに、全てがうまく絡み合っているのがやはり素晴らしいですし、本当に物語の序盤でもヒントが描かれていて、伏線の張り方もすごく上手いです!
2つ目はなんといっても本作のメッセージ性ですね。辻村さんの作品の中で高校生は多く登場しますが、本作では学校に馴染めない子たちに焦点を当てているところが良いですね。その子たち同士が仲間として助け合ったり、喧嘩したりすることで絆を育む姿が印象的であるとともに、周りの大人たちも手を差し伸べてくれる温かさがあって、人間は助け合えるということがすごく伝わってきて非常に感動しました。
物語の読みやすさ、ストーリー性、そしてミステリーとしての面白さがあり万人受けする本作は間違いなく僕のオススメ本の10冊の中に入る1冊なのかなと思います。
- 感想投稿日 : 2024年3月3日
- 読了日 : 2024年3月3日
- 本棚登録日 : 2024年3月3日
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