読み始めたときから、かつて大好きだった映画たちと一緒だ、って感覚を抱いてた
そしてその感覚は読み終わるまでずっと続いた
きび色の沙地、
流砂に埋もれ時おり僅かに姿を垣間見せるかのような記憶=謎、
その言葉を聴くことができる者だけに静かに語りかける紋様
コトバ=織物=記号、耳=指先
指は織物を紡ぎ、指は織物を聴き取る
始まりは寺山修司の実験映画だった
映画に明確なストーリーなど自分には必ずしも必要ではないことがわかった最初の体験
海外旅行に全く興味がない俺にとって、映画は”此処ではない何処か”へ連れていってくれる装置だった
謎を謎のまま愛でることができるのは、自分自身がその世界に存在していないが故なのかもしれない
”わからないこと”と自分が共にいることは、不安とそれは近い位置にあることを知り続けることでもあるのだし
カルトローレが映画を思わせたのはきっと文章が描く映像が美しいからなんだろう
個人的にはゆったりと流れる時間の心地良さも付け加えたいとこだけれど、これは人によって同意できたり出来なかったりしそう
表紙も綺麗だし。少しだけジョゼフ・コーネルを連想したりもして。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2012年9月29日
- 読了日 : 2012年9月29日
- 本棚登録日 : 2012年9月29日
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