廃バスの中で暮らすマスターから少年はチェスを教わる。でも、その男の死を目の当たりにして、少年は成長することが怖くなり、11歳の身体のまま成長がとまる。そして、少年はチェス台の下に潜み、からくり人形「リトル・アリョーヒン」を操りチェスを指すようになる。少年の友達はデパートの屋上で亡くなった象のインディラと架空の少女ミイラだけだった。
チェスに全然馴染みがない私でも、次がどうなるのか気になって物語の世界に没入していく。
少年の祖父母、マスター、ミイラ、みんな優しい。
何よりも哀しいのはミイラとの別れ。取り返しのつかないことをしてしまっても、成長を自ら拒絶してしまった少年にはなす術がないのか。
少年は、チェスと結びついた人々と永遠の別れを重ねていく。そして最後には、、、。
小川洋子さんが少年を通して何を訴えたかったのか今はわからない。
ただ、この物語が森の中の湖面を揺らしながら進んでいく美しく切ない物語だということだけは言える。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小川洋子
- 感想投稿日 : 2024年3月26日
- 読了日 : 2024年3月26日
- 本棚登録日 : 2024年3月26日
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