原文は「英語で書かれた20世紀最高の小説」で2位のたいへん評価の高い小説で、学校の授業などにも扱われる題材らしいです。
ただし原文の評価なので
翻訳本としてのクオリティは不明。
過度に修飾された文章をひとつひとつ追っていたら迷子になりそうになったので、まずは読み流すくらいの気持ちで一通り読んで見ました。
それでも人称が"彼"とか"彼女"で、誰の台詞なのか混乱しやすかったです。
そのうえ女性が「あたし、お会いしたいんだがな」と男性的な言葉使いを言ったりするので、大いに戸惑います。
その他の日本語にもひっかかる点が何点かあるのですが、正しい日本語なのかどうかわかりません。
50年前はこれが一般的だったのでしょうか。
とりあえず今読むには少し違和感がありました。
一途に(あるいは病的に)ひとりの女性を愛し続けたギャッツビー。
あらゆる成功をその女性のために捧げようとする。
しかしその女性には夫がいて……。
女性の友人であり、ギャッツビーの隣家に住むニックの目線で
物語はある悲劇的な結末を迎えていく。
そこにあるのは理想を求める高潔な心境と、実際の醜い人間味。
欲に駆られた人間の薄情さ、偽善、不公平とも言える公平さ(どんなに潔癖に生きようとも、どんなに打算的にずる賢く生きようとも、幸、不幸の訪れる確率は不変であり、また生死の確率も変わらない)が、生きていく残酷さを表していると思います。
村上春樹氏が大きく影響を受けた本らしく、
確かに主人公であるニックの醒めた、
それでいて内心に孤独と情熱を秘めた人柄は
村上春樹氏が描く登場人物に通じるものがあると思います。
ニックが交際していた彼女と別れる場面で、こう描かれています。
”ぼくは腹立たしく、しかも彼女が半ばいとおしく、さらにまたたまらなくすまなくも思いながらくびすを返した。 ”
私はさして村上春樹氏の本を読んでいるわけではありませんが、
それでもなんだか村上さんぽくないですか?
この部分は原文ではどう描かれ、
村上春樹訳ではどう表現されているか。
村上さんはじめ、数人の作家が翻訳されているので
読み比べてみるのも面白いかもしれません。
私としてはいずれ時間をおいて、読み返してみようと思います。
- 感想投稿日 : 2011年10月22日
- 読了日 : 2011年3月31日
- 本棚登録日 : 2011年4月17日
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