短編集。
「ロシア紅茶の謎」
作詞家・奥村丈二が、自宅で年忘れのパーティーの真っ最中に客たちの目の前で突然苦しみ出し絶命した。
死因は青酸カリを服毒したことによる中毒死だった。
パーティーの参加者は被害者・奥村丈二、妹の真澄、友人の金木雄也、桜井益男、内藤祥子、円城早苗の計6名。
友人たち4人全員に奥村との確執があり、殺人の動機を持っていた。
犯人が犯行に使ったトリックには驚かされた。
犯行が失敗して自分の身に危険がおよぶ可能性もある。
そこまでの覚悟があっての犯行だったのかと。
危険であることを十分承知したうえで、それでもなお奥村への強い憎しみの方が勝っていたということなのだろうか。
火村が犯人に対して放ったひと言は、もしかしたら犯人の異常な勇気に対する敬意なのかもしれない、とも想った。
かつて火村が言っていたように「学問にかこつけて人を狩ることだ」という言葉。
最終行に記されている「彼は、愛に似た獣を撃ったのだ」の一文が印象に残る物語だった。
物語の内容とはあまり関係がないけれど、火村が呟いた「俺だって、胸を掻きむしられるような想いをしたことはあるさ」が気になってしかたがない。
いったい何時、誰に対して、火村はそう感じたのだろうか?
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2017年4月19日
- 読了日 : 2017年4月19日
- 本棚登録日 : 2017年4月19日
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