殺人ライセンス (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社 (2014年2月5日発売)
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本棚登録 : 228
感想 : 23
3

元は2002年の作品である。
その頃のインターネット事情と現在では大きく違う。
たぶん、この物語が発表されたときはインターネットの経験者はあまりいなかったのでは?と思う。
逆に今では未経験者を探す方が難しいだろう。
ネット上に突然現れる「殺人ライセンス」というゲーム。
ターゲットを殺害することを想定して進めていくゲームである。
たとえばターゲットに接触するのに「自宅を訪ねる」と「呼び出す」の二択がある。
「自宅を訪ねる」を選ぶと第三者に目撃されたことにより逮捕されました…とメッセージが出てゲームオーバーとなる。
「呼び出す」を選んだ場合は、次に呼び出す方法を選ぶ…という感じだ。
ほとんどの捜査官がインターネットの知識がないため、このサイトのことを知らされてもどう受け止めていいのかわからない。
インターネットで殺人…というシチュエーションが理解できないのだ。
結局、人が人を殺すのであって、基本的なことは何も変わらないと気づくのだが。
ミステリー部分よりも、相沢の変化、相沢家の雰囲気、キュウの成長など、他の部分のほうが楽しめた。
とくに祥子が麻理に違和感を感じ始めるところが印象に残った。
ほんの少しだけ自分の方が先に大人になっただけ・・・そんなふうに思えるようになった祥子の成長が見える場面は好きだ。
うっとうしいけれど感謝すべき存在でもある。
それが親だと思う。高校生で親のありがたみがわかるなんてすごいな…と単純に思ってしまった。
そんな簡単なことに気づいたのはもっと大人になってからだったので。
時間的な古さもあり、今野さんの作品のわりには書き込み不足というか浅い感じがした。
もったいないなと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2017年3月11日
読了日 : 2017年3月11日
本棚登録日 : 2017年3月11日

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