「恥の多い生涯を送ってきました」の有名な冒頭で始まる超有名な本を、今更ながら初めて読んでみた。
主人公の葉蔵は、一見剽軽なおとぼけキャラで人(特に女性)から愛される人物で、時にヒモのように生活することも。だがその一方で内面では、自己肯定感が著しく欠如し、人と接するのを極度に恐れる繊細な一面を感じた。
人見知りをしがちな自分が共感したのは、相手を「訪問」するのが苦手なところ。断られたら恥ずかしい、悲しいといった気持ちからなかなか腰が重くなってしまう。
主人公は悲しいラストを迎えることになるが、幸せになるにはなにより自分が自分を認めてあげる、好きになることだったのではないだろうか。たとえ人から愛されても、自分の中で自分を愛しきれないなら、心は寂しいままだと強く感じた一冊だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年11月4日
- 読了日 : 2018年11月4日
- 本棚登録日 : 2018年10月22日
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