誰もが書かなかった日本の戦争

著者 :
  • ポプラ社 (2011年7月7日発売)
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感想 : 23
3

【レビュー】
装丁は素晴らしい。可読性が極めて高い。内容も5分の1ページくらいで興味深い情報が列挙されており、一読の価値あり。
【意見】
著者は、大東亜戦争は侵略戦争ではなかったと主張しているが、その根拠が薄弱。侵略戦争の定義をしっかり提示してから論を進めてほしかった。
また、興味深い情報といってもトリビア的なもので、「だれもが書かなかった」ということはできないと思う。キャッチ―さを狙ったか。しかし総じて信頼に値する立論だった。
【特記事項】
・陸奥宗光は西南戦争で反政府の側に立ち逮捕されていたが、伊藤の見る目が高かったゆえ、外相として起用された。
・東学党の乱→日清戦争→三国干渉→義和団事件→北清事変→日露戦争
・盧溝橋は東方見聞録でも紹介されているくらい美しく、欧米ではマルコ・ポーロ橋と呼ばれている。
・シベリア鉄道によるロシアの軍隊輸送の貨車は木造で、極東に着いたらそのまま貨車を壊して燃料にし、車輪だけを分解してまとめて送り返す。だから、シベリア鉄道は単線だったが、貨車往復に時間をかける必要がなかった。
・日露戦争で、日本側は途中で弾丸がなくなり、石やがれきを投げて戦った部隊も少なくなかった。
・イギリスは第一次世界大戦のとき、日英同盟ゆえに日本の参加を要請したが、それは極東海域限定で、青島や山東半島までではなかった。
・秦郁彦『昭和史の謎を追う』を注目。
・敗戦まで日本軍人には選挙権はなかった。
・五・一五事件は、当時革命を起こすような問題はなく、首謀者たちは革命に酔っていた。
・石原莞爾は対ソ戦備えのために、日中戦争には不拡大方針。
・ヒトラーは日中戦争の仲介に立ったことがある。
・日中戦争では、総理自身何のために戦っているのか分からなった。
・東条は、天皇絶対で、戦争反対のときもあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2011年8月19日
読了日 : 2011年8月19日
本棚登録日 : 2011年8月19日

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