文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年9月8日発売)
4.01
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本棚登録 : 12988
感想 : 1192
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さて、結局のところ魍魎とは?

文庫本にも、最初のページに今昔續百鬼“魍魎”図があります。ちっちゃくて、見にくいけど。この一枚から、この後の1,000ページ以上の作品が出来上がるのだから、すごいとしか言いようがないです。(最近、同じような感想を、カリスマメロンの本棚で読んだ気がするのだよ。)
匣にみっちり詰まった少女達の四肢の発見から始まり、最後は、人体の代わりとなる箱に至るまで、膨大な情報量は、一読では把握しきれません。
小説が、源氏物語のように、2層構造になっていて、事件を追っていくメインの層と、京極堂の博識がむっちっり詰まった娯楽層。世間は、京極堂の博識ぶりにざわつくのだから、なかなかコンパクトにならないですね。
密かな楽しみは、陰陽道のうんちく。当然、陰陽五行説の方位の知識も披露されてました。で、今作で最初の方に、中国の「算命」まで出してきて、さすがに詳細説明は無かったけれど、算命が日本で継承され始めたのは、第二次世界大戦後で、それまで知っているとは驚きなのです。
算命学には、三極構造理論という肉体・霊魂・心からなる考え方があり、人間の主体は肉体、これに目に見えない霊魂が宿る。これを結びつけるのが、心。この小説の主題のように思います。
心がなくなった匣には魍魎が蔓延るのでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 
感想投稿日 : 2023年7月23日
読了日 : 2023年7月23日
本棚登録日 : 2023年7月2日

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コメント 5件

みんみんさんのコメント
2023/07/23

匣みっちり妄想が止まらなかったわ〜!
手がヤバいからやっぱ文庫で読み進めよ(꒪⌓︎꒪)

土瓶さんのコメント
2023/07/23

おつかれ~^^
もう、おびのりさん。京極堂と闘えるじゃないですか。
魍魎とは、京極堂をしてやっかいという代物。だったかな。

次は……髑髏か。脳やら宗教やらユングやらフロイトやら。

みんみんさんに追いつきそう。

おびのりさんのコメント
2023/07/23

長旅だったわー。
ユングとか苦手だわ。
でも、読むよ。

土瓶さんのコメント
2023/07/23

むしろ次の次「鉄鼠の檻」の方が合うかもね。
舞台は禅寺。

ひまわりめろんさんのコメント
2023/07/24

分かる!常に一歩先を行ってる感じがカリスマたる所以よね
分かるわ〜

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