さて、結局のところ魍魎とは?
文庫本にも、最初のページに今昔續百鬼“魍魎”図があります。ちっちゃくて、見にくいけど。この一枚から、この後の1,000ページ以上の作品が出来上がるのだから、すごいとしか言いようがないです。(最近、同じような感想を、カリスマメロンの本棚で読んだ気がするのだよ。)
匣にみっちり詰まった少女達の四肢の発見から始まり、最後は、人体の代わりとなる箱に至るまで、膨大な情報量は、一読では把握しきれません。
小説が、源氏物語のように、2層構造になっていて、事件を追っていくメインの層と、京極堂の博識がむっちっり詰まった娯楽層。世間は、京極堂の博識ぶりにざわつくのだから、なかなかコンパクトにならないですね。
密かな楽しみは、陰陽道のうんちく。当然、陰陽五行説の方位の知識も披露されてました。で、今作で最初の方に、中国の「算命」まで出してきて、さすがに詳細説明は無かったけれど、算命が日本で継承され始めたのは、第二次世界大戦後で、それまで知っているとは驚きなのです。
算命学には、三極構造理論という肉体・霊魂・心からなる考え方があり、人間の主体は肉体、これに目に見えない霊魂が宿る。これを結びつけるのが、心。この小説の主題のように思います。
心がなくなった匣には魍魎が蔓延るのでしょうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年7月23日
- 読了日 : 2023年7月23日
- 本棚登録日 : 2023年7月2日
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コメント 5件
みんみんさんのコメント
2023/07/23
土瓶さんのコメント
2023/07/23
おびのりさんのコメント
2023/07/23
土瓶さんのコメント
2023/07/23
ひまわりめろんさんのコメント
2023/07/24