1912年 朝日新聞連載 後期三部作
個々の短編を重ねた末、その個々の短編が相合して一長編を構成するという試みー プロローグで漱石が語る。
主人公は、卒業後求職中の青年・田川。
彼に関わる、あるいは、聴いた、物語。
冒険談・サスペンス・友人の恋愛談・生い立ち 等、語部を替えながら、其々短編として独立する。
前期三作に比べれば、ストーリー豊かで、読み物として面白い。
「雨の降る日」は、雨の降る日、幼女を突然亡くした一家を描く。突然の悲しみを、淡々ととやり過ごすような家族の描写が、痛ましい。感情表現はされず、「雨の降る日に紹介状を持って会いにくる男が嫌になった。」とだけ主人に語らせる。
漱石が、この頃、娘を亡くしたことを反映しているとのこと。
結末という章で、主人公・田川を、世間を聴く一種の探訪者である、としている。ストーリーの主人公は、友人・須永である事が多い。
ストーリーは、主人公によっては動かないという状況は、読者を田川目線にする事ができたのではと思うのです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年2月25日
- 読了日 : 2022年2月25日
- 本棚登録日 : 2022年2月25日
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