昭和54年8月15日 24刷 再読
そして、たぶん、これで読了なので覚書多め
「舞姫」
1890年 初期の代表作 ドイツ三部作
前途有望な日本人青年がドイツの踊り子の美少女と恋に落ちる。恋に落ちると同時に彼の生活も荒んで行く。友人に手を差し伸べられ、妊娠中の彼女をドイツに残して帰郷し、自身の生活に決着をつける。
今でもありそうな恋愛小説。若い頃は、女性を捨て生活を立て直すのも鴎外様だから仕方ないかなと思っていたけど、実際は、日本まで追いかけて来た彼女を、厳しいお母様に叱られて追い返したらしいというちょっとガッカリ感ありでした。
「うたかたの記」
1890年 ドイツ三部作一部
これは読むのが難しくて現代語訳で。
日本の画学生が、美しく成長した昔会った花売り娘に再会。愛を確かめるも、国王まで巻き込む湖の事故で彼女は没する。
悲恋の短編ですが、国王絡みの設定が、思い切りがありすぎて、戸惑う。
「鶏」
1910年 自身の小倉での経験から
軍人の小倉での、ご近所物語でいいのかしら。
ひょうひょうとした主人公と、その回りを取り囲む小倉の人達。
「かのように」
神話と歴史 の分離について思考する青年(鴎外さんですよね)
難解ですが、興味ある主題。文庫だと読みにくいので後日、読み直し。
「阿部一族」
1913年 『阿部茶事談』下敷 歴史小説
乃木大将殉死の批判に対する鴎外の著述
熊本藩主細川忠利の死去の殉死を認められなかった阿部一族の反旗、絶滅を描く。
主従関係の重みだけでなく、殉死によるその後の一族の優遇措置、殉死への許可等、現在では理解し難い内容。
「堺事件」
1914年 幕末の堺事件を元とした歴史小説
フランスの水兵の暴挙に対抗した土佐藩歩兵隊。撃ち合いとなりフランス人に死者を出し、その罪を問われる。理不尽な処分に異議を申し立て切腹の許可を得る。くじ引きでの処分者の決定、切腹後の家族への恩恵など、混乱期の日本人の悲哀であるが、日本人・武士としての生き様がある。
鴎外の当時の西欧強国への批判なのかと思う。
「余興」
懇親会へ出向き、浪花節などの余興を楽しんでしんいるふりをする。盛大な拍手までする。そして、憂鬱になる。
ちょっと、気持ちがわかる。
「じいさんばあさん」
1915年大田南畝の随筆「一話一言」より歴史小説
年配の夫婦『じいさんばあさん』今は二人穏やかに隠居生活を送っている。
しかし、過去37年間、夫は罪を犯し越前へ。妻は一人家族を守り、武家奉公を続けていた。親をおくり、息子を亡くし、信仰を続けた妻。その人生の最後は、夫と穏やかに暮らす。
かくありたいという、ばあさんでした。
「寒山拾得」
1916年 寒山拾得縁起
これは高校現代国語の教科書で扱っていて、その縁起のラスト「パパアも文殊なのだが誰も拝みに来ないんだよ。」に、混乱した思い出がありますね。懐かしい。たぶん、この作品から森鴎外を、多少無理して読みましたね。年齢を重ねて、無理して読んでみるっていうのも若さの特権かと思います。
- 感想投稿日 : 2022年1月17日
- 読了日 : 2022年1月18日
- 本棚登録日 : 2022年1月17日
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