八月四日 清張忌から読み始めたのですが、しっくりこなくて、お時間かかりました。きちんと、推理小説です。一捻りある構成だと思います。
九州唐津で、旅館の女中をしていた一人の女性が、博多へ行くと言って、誰にも知られず姿を消す。
四国で、小金を貸していた未亡人の殺人事件が起こる。この二つの事件そのものは、関係ないもの。それが、ある「同人雑誌」に投稿された小説の一部が、事件の場面を渡していく。
どちらの事件も、この小説のある場面から解決を見ていくのですが、偶然の繋がりが疑問を持たせていく。うーむ。なんだか、私が説明すると面白くなさそうになる…
ネタバレになるけど(ネタバレても、これだけ古いと読まないか?)、この事件の繋がりは、小説の中の6ページの場面描写。投稿された小説のその部分だけが、賞賛されていた。そこは、小説家が書いて作品としては、発表せず捨てたものだった。ここがね、面白いところなんですよ。偶然手に入れた表現を自分の作品に入れ込んだ素人作家。その描写は四国の殺人現場の近くのものであり、彼とは無関係なのに疑われて、結局、女中殺しがバレちゃう。という屈折。しかも、この6ページ部分を、プロ作家が書いたっていう仕上がりで準備しなければならない作者の勇気よ。しかも柴犬が両方の場面ででてくるのだけど、別の犬という謎。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年8月10日
- 読了日 : 2022年8月10日
- 本棚登録日 : 2022年8月10日
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コメント 5件
shukawabestさんのコメント
2022/08/11
おびのりさんのコメント
2022/08/11
shukawabestさんのコメント
2022/08/11
おびのりさんのコメント
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shukawabestさんのコメント
2022/08/11