だいぶ前になるけれど、当時の職場のそれなりの年齢の女性たちの(しかも離婚率やや高め)ランチタイムの時、人生いつからやり直したいかという話題になり、「卵から」と答えて爆笑されたことがある。ウケを狙った訳でなく、本気だったんですけどね。読んでいて、そんな懐かしい事を思い出しました。
主人公は三人。一人目は、母親が長男を溺愛するあまり、家族が崩れていった次男の由人。二人目は、海辺の貧困家庭に生まれ、絵の才能を持て余しながら、絵画教室の教師の子供を18歳で出産し、育児放棄して家出した野々花。三人目は、長女を乳児で突然亡くた母親から異常な愛情と管理を受ける女子高生正子。
東京という都会に飲み込まれながら三人は格闘してきた。彼らは限界を感じ都会の迷子になる。そして、入江に迷い込んだクジラに会いに行く。
格別不幸そうな三人でありながら、自分に友人に近しい誰かに重なってくる。その誰かのどこかに感情移入しながら読ませてくれる。
入る事は容易でも、抜け出す事は難しい。
迷ったクジラを助けようとする人がいるように、彼らの出口も見えてくる。
いろんな事を思い出して、残像が残る様な作品でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年10月24日
- 読了日 : 2022年10月24日
- 本棚登録日 : 2022年10月24日
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コメント 5件
土瓶さんのコメント
2022/10/24
おびのりさんのコメント
2022/10/24
ひまわりめろんさんのコメント
2022/10/25
おびのりさんのコメント
2022/10/25
土瓶さんのコメント
2022/10/25