麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年1月16日発売)
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本棚登録 : 12822
感想 : 1239
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謎めいた全寮制の学園で繰り広げられる、不思議な物語。
窓からの景色は、色彩のない灰色の湿原。そこに浮かぶ青の丘は、まさに陸の孤島。
緑の館と、背の高い美しい校長。
二月最後の日に転入してきた理瀬を中心に、ミステリーとファンタジーが入り交じった見事な作品だった。
学園は人生の休暇…ここは三月の国。出会いと別れの国。
生徒の失踪や殺人事件が繰り返されるが、私たちは物語に身をまかせるだけ。先を読み進めるだけだ。
何処にも行けない。身動きがとれない。そのことが決して苦痛ではなく、他にはない読書体験だった。
校長のお茶会や、優秀な生徒たちの会話や推理、学園で行われる行事も興味深く楽しめた。
すべての謎が解かれ、学園を後にした理瀬はまた再びここに戻ってくる。
また理瀬に出会いたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恩田陸
感想投稿日 : 2021年8月13日
読了日 : 2021年8月13日
本棚登録日 : 2021年8月13日

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