イギリスの品格ある旧家で長い間執事を務めたスティーブンスは、西部地方へ六日間の短い旅に出ることになる。
長年仕えていたダーリントン卿への思い、女中頭であったミス・ケントンへの淡い恋心など、すべてがスティーブンスの旅の間に思い起こされた、長い独白という形で綴られていた。
偉大な執事とは何か。品格とは。
堅苦しい話が延々と続くのかと思いきや、ユーモアで心和む場面もあり、スティーブンスの生真面目過ぎる人柄にもかかわらず、親しみが湧いてくる。
物語が終わりに近づくにつれ、ページをめくる手が止まらなくなった。
後戻りはできない、ただ一度きりの人生。見事なラストシーン。
哀しくも美しい、余韻の残る素晴らしい作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外の文学
- 感想投稿日 : 2020年12月29日
- 読了日 : 2020年12月29日
- 本棚登録日 : 2020年12月29日
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