2012/01/05読了
手に取るのを一瞬ためらった。衝撃的なタイトル
本のタイトルから解るように、三月十一日、あの日の震災で壊滅的な被害を受けた釜石の光景。
遺体を救い、運び、安置し、記録をとった人たちのレポートである。
あの日の一つの町と、多くの人が消えたレポートだ。
亡くなった人を運ぶ人がいて、遺族へと会わせる人がいる。
それはもうこれだと決めた仕事ではない。だが、本当にこの人たちがいなくては町の再生が始まらない。
辛い、言葉に出来ない惨状を、何とかしようとしている人の上に「復興」があるのだろう。
文章だけでは解らないし、正直に言って解りたくもないその現場に彼らはいた。
その現場の存在は知っていても、内側のことは良く知らないままで、私たちは震災を嘆いている。
三月十一日
この日を境に、色々なことが変わってしまった。
多くの人の思いを与える人、受け取る人
多くの人の亡骸を、救う人、煙にする人
多くの人の心を、支える人、一人じっと耐える人
いろんなことがあって、表ではどうにかプラスの方向「復興」へと向かっているようには見える。しかし、その間には仲介人がいる。なくてはならない存在が、支援するひとの何倍も苦しみながら、働いていることを忘れてはならない。
遺体だった人々がいた。
笑顔があった、生活があった。消えてしまったそれらを記録する人がいた。
私は知らなかった。そのことを。知らなくてはならないのだ。
真実を知ってこその「復興」なのだ。
口だけでとやかく言う前に、この惨状を知らなければならない。
メディアはこういうことをもっと広めるべきだ。そうでなければ、真の「復興」など、いつまでたっても到来しないのではなかろうか。
読まなければならない一冊。
- 感想投稿日 : 2012年1月9日
- 読了日 : 2018年3月1日
- 本棚登録日 : 2012年1月9日
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