このタイトルだと、どうしても、ビクトル・エリセの映画『エル・スール』が思い出される。実際この本が原作と云うことで、著者は当時エリセの妻だった。原作では、映画版では語られていない、主人公が南へ旅立った、その後の話が書かれている。話の筋としては同じだが、主人公の名前が違ったり、いくつかのエピソードが互いに無かったりする。映画も原作もすばらしいが、個人的には別のものと考えて良いと思う。原書は『エル・スール/ベネ』の2編収録されていたみたいだが、『ベネ』の方は未収録、こちらも読んでみたかったのだが。
これからの本はかくあるべき、なんだと思う。紙からインターネットの時代になってきて、お金を出さなくても小説は読めるし、印刷されたものは幅もとる。本はある意味、贅沢品として、手元に置きたいようなものを作っていくべきなのかと思う。本文はゆったりとした余白と行間をとっている。表紙も美しいし、本作りにこだわりが見える。文字数の多い本は、あまり売れないらしい。これくらいの中編がちょうど良いのだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2009年11月22日
- 読了日 : 2009年11月22日
- 本棚登録日 : 2009年11月22日
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