ハイスミスの処女作だが、処女作からすでにハイスミスらしさ全開である。たまたま列車で乗り合わせた相手に友達になろうと持ちかけられ、最終的に交換殺人の共犯にされてしまう男の話だが、怖いのはそんな話を持ちかける人間の狂気ではなく、受け入れてしまう人間の弱さである。錯乱した男の描写がすばらしい。中指が内側に折れたまま掌にくっついて離れなくなる、っていうのは読んでいて思わず自分の指の動きを確かめたくなるほど。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アメリカ文学
- 感想投稿日 : 2013年4月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年6月10日
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