いつか上高地に行ってみたいと思っています。
その上高地を舞台にした小説といえば、芥川竜之介の「河童」。
河童の国での生活が、ある精神病患者によって語られます。
上高地から穂高山への道を辿る途中に出会った1匹の河童を追いかけ穴に落ち、男が着いたところは河童の国でした。
男の目から、人間の社会とは真逆の河童の世界を見ながら、はじめは面白がる気持ちで読んでいたのですが、だんだん眉間にしわが寄って、どんよりしたものが自分の中に立ちこめてきました。
特に、テクノロジーの発達で工場を解雇された河童は、安定した社会のために毒ガスで殺され、その肉は食用となる…のあたりでは、冷や汗が…。
河童の世界を通して見えてきた人間の世界…うむ、笑えない…。
本作にこめられた批判と皮肉の中には、よくわからなかったものもあるので、再読したいです。
他2篇の「蜃気楼」「三つの窓」もどこか不穏な気配が漂い、落ち着かない気持ちにさせられます。
でもその不穏さを味わいたいと思う自分もいて…。
読書状況:読み終わった
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読みました。
- 感想投稿日 : 2014年10月27日
- 読了日 : 2014年10月25日
- 本棚登録日 : 2014年10月27日
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