異類婚姻譚

著者 :
  • 講談社 (2016年1月21日発売)
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本棚登録 : 2705
感想 : 432
3

「根腐れ」という言葉に衝撃を受けました。
男は土の中の養分のように、私の根を通して私の中に沁み込んでくる…それが幸となるか不幸となるかは結局は程度の差、というリアルを見せつけられる。
夫婦が似てくるということは、必ずしも幸福なことではないのですね…

表題作のラスト、一気に空中に引っ張り上げられるような浮遊感を味わいました。
それまで主人公と彼女の夫の関係に、眉間にしわをよせながら読んでいた分、その突然の浮遊感にびっくり。
ドロドロとした澱みに、一陣の風が吹き込んで昇華されたような。

「一緒にいると楽なんだよな」と言われることが、状況によってはこんなに気持ち悪く、鳥肌の立つ響きを孕むものなのか。
読後に結構消耗している自分に気付いて苦笑い。
結婚するなら同じ「楽」でも一緒にいて「楽しい」人としたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読みました。
感想投稿日 : 2016年6月11日
読了日 : 2016年6月11日
本棚登録日 : 2016年6月11日

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